河本洋一

「更級日記」模作

 

2020年9月のワークショップにて制作。
表紙、裏表紙:強製紙にプリントごっこ
本文:楮
165mm×150mm 
原本:「更級日記」
作者:菅原孝標の女 
藤原定家書写本 鎌倉時代 
大和綴(折り丁を糸で綴じた大和綴)
三の丸尚蔵館(現在休館中)

「更級日記」(笠間書院刊)から表紙の筆跡と裏表紙の文様を模写し、NHKテレビ「歴史秘話ヒストリア」『物語に魅せられて 更級日記・平安少女の秘密』を参考にした。

<以下は余談>
複製本は作られていても、綴じ穴の位置などは、見た範囲では書いていない。
上記テレビ番組の冒頭に映し出されていた現物の映像から、算出しました。

○ワークショップで行った複製本のデータ
 サイズは同じだが、本文紙の枚数は異なる。「鎌倉時代特有の斐紙」とされているが、両面書写可能で、現代風に数えて200ページを越えて、表紙と合わせて12mmという厚さの紙は入手困難。原本の拝観もできないので、表紙は「強制紙」「強製紙」などとして売られている紙を数色用意し、参加者に選んでもらった。
綴じは四つ穴、針は4本、糸を2本使い、二つ穴を独立に綴じる(ルリユール工房の入門コースで採用されている「パピヨン綴じ」は、この綴じを元に考案されたと思われる)
最後の折り丁で、飾り結びをして終わる。終わり方には数種類あるようだ。
綴じ穴の間隔は洋本に比べて短く、一見和紙は軽いので、この綴じで保つかとも思われるが、実際は糸が切れて、複数回?綴じ直しが行われ、その際にミスがあり、「錯簡」が起き、長年、内容が難解と言われてきた。これが解明されたのは、20世紀になってからとなる。