中野裕子

 

製本用語集改訂新版

東京製本倶楽部
2024年
プラ・ラポルテ製本
合板、タマネギ皮
215×153×15mm

某社の薄いシナ合板は、表紙にそのまま使えるだけの美しさと強固さを携えており、プラ・ラポルテ製本に適していると思う。表紙と見返しの表現は、本を開いた状態を記号化して配置。赤タマネギの皮の透明感のある輝きを活かせないかと、小さく切って表紙に埋めてみた。

 

 

本をめぐる話(二)

東京製本倶楽部
2009年
東洋風製本 (足つき製本)
革、コルク
210×175×17mm

折丁に足を付けて綴じるこの製本方法は、工作的な楽しさと表現の幅があり、いろいろ試したくなる。
この話のシリーズは全部で5つある。
5という数から、陰陽五行説の五つの要素にそれぞれを当てはめ、この回は「火」をモチーフとして表現した。

 

 

赤い蠟燭と人魚(復刻版)

小川未明 著
2003年
ゴシック風
板、貝
190×130×30mm

支持体に革を使い、折丁の背に和紙を巻く。全体を革で覆わず、背と表紙の板を見せる仕様に。人魚の母娘の無念な思いを慰めたく、静かに明かりが灯るような表現にし、一部に貝を埋めた。